第51回
「松竹梅」は等級を表すことばなのか?

 うなぎが好きでよく食べに行く。
 先日、上野池之端にあるうなぎ屋に行ってお品書きを見たところ、うな重は「松」と「竹」があり(「梅」はなかった)、値段は「松」よりも「竹」のほうが高い設定になっていた。普通、「松竹梅」で値段の違いを示すときは「松」が一番高く、以下「竹・梅」と続くことが多いのでおやっと思った。
 だが、この「松竹梅」は実は順序や等級の優劣を表すことばではないのである。元来は、松と竹は冬の寒さに耐えて緑を保ち、梅は花を咲かせるところから、「歳寒(さいかん)の三友(さんゆう)」と称して、めでたいもののしるしとされていたのである。「歳寒」とは冬の時節のことで、「歳寒の三友」は東洋画の画題や祝い事の飾り、立花などに用いられる。
 俳優の渡哲也さんがCMに出ているまさにその名が付けられた清酒もあるが、これもめでたいものであるところからの命名であろう。
 つまり、「松竹梅」を順序や等級の優劣を表す語として使われるようになったのは最近のことのようで、どれが上でどれが下ということはないのである。
 ちなみにくだんのうなぎ屋では安いほうの「松」を食べたのだが、「竹」と比較はできなかったものの、ふっくらとしたうなぎで実に美味であった。

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