第54回
ひらがなの字体にも違いがある

 前回「令」と令など、漢字の字体について書いたが、ひらがなにもデザインによる字形の違いがあるということをご存じだろうか。そのため、ひらがなを学び始めた子どもが印刷文字を見て迷うということがけっこうあるらしい。
 たとえば一般的な印刷文字である明朝体のきさふりやなどがそうで、これらを小学校の教科書で使われている手書き文字に近い教科書体で示すと、きさふりやとなる。微妙な違いだがどこが違うかおわかりだろうか。 
 明朝体では筆の流れでつながっている部分が教科書体になると離れているのである。このような違いをどう考えるべきなのか、幼児向けの国語辞典(『ことばのえじてん』)を編集していたときに、文部科学省に問い合わせたことがある。するとそれに対する回答は、こう書かなければいけないという決まりは無いという、極めてあっさりしたものであった。
 弊社では、以前から幼児や子ども向けの雑誌や絵本、辞典、図鑑などでは、子どもが混乱しないように、離すところは離したデザインの文字を新たに作成して使用するようにしている。
 小学生向けの国語辞典の場合、解説部分は教科書に合わせて教科書体の文字を使うことが多いのだが、見出し部分は教科書体では線が細くて弱いので、アンチック体やゴシック体といった太めのかな用の文字を使うことが多い。その際に気をつけなければならないのは、アンチック体やゴシック体には明朝体同様つながってデザインされている文字があるため、見出部分と本文とのかなの字形が違ってしまう点である。
 昨年秋に刊行した小学生向けの『例解学習国語辞典』第9版ではその点を配慮して、独自に見出し用の新しいデザインの文字を開発した。

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