第75回
蚊に“かまれる”“くわれる”どっち?

 いまだ機能はよくわかっていないのだが、数か月前からFacebookをしている。毎日“友達”の書き込みや公開された写真を楽しみにしているのだが、先日、こんな書き込みについ反応してしまった。
 「完全装備で雑草とりしたら、やはりやつらはすごい!唯一カバーしていない鼻と目をひどく噛まれた。もう、蚊は大大大嫌い。明日は会社に行けないぞぉ。」
 本人には申し訳ないのだが、反応したのはその悲惨な体験ではなく、「噛(か)まれる」の部分であった。というのも、「蚊にかまれる」という言い方は、千葉県出身の筆者はしたことがないからである。千葉県人にとっては、蚊にはふつう「くわれる」ものなのである。だがこれとても方言で、共通語は「刺される」である。
 この「蚊に噛まれ」た“友達”は京都出身の女性で、「かまれる」「くわれる」ははっきりと東西対決の見られることばなのである。
 東京女子大学の篠崎晃一教授によると、「かまれる」は西日本、「くわれる」は東日本に多い言い方だという(『出身地(イナカ)がわかる方言』2008年毎日新聞社、2011年幻冬舎文庫)。その境界は、京都・奈良・和歌山以西で「かまれる」が多く、福井・滋賀・三重以東で「くわれる」が多いという。ただし、西日本でも「かまれる」「くわれる」が併存する地域もあるとのことだが、東日本では「かまれる」はほとんど見られないという。京都・大阪・兵庫は特に「かまれる」が多い地域だそうだ。
 蚊は口の部分にある針で刺すため「かまれる」「くわれる」という言い方は納得できるのだが、蜂のよう腹部に針のある昆虫に刺されたときもそれらの地域は同じように言うのだろうか。
 ご存じの方がいらっしゃったらぜひ教えていただきたい。

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