第81回
落語の小噺が日本語教育の教材に!?

 外国人に日本語を教える日本語教育は近年ますます盛んになっているようだが、最近とてもユニークな教育法があるということを知った。なんと落語の小噺を活用した教育法があるというのである。
 考案したのは、アメリカのミドルベリー大学日本語学校の畑佐一味校長。しかも畑佐校長は単に小噺を取り入れただけでなく、実際にプロの落語家に直接指導にあたってもらうという、ふつうでは考えもつかぬようなことを実践してしまったのである。
 そしてその講師がまたすごい。東京の落語界の雄、柳家さん喬師匠と弟子の若手実力派柳亭左龍師匠なのだから。
 学生たちが演じる小噺も、「母ちゃんパンツ破けた」「マタかい」などというやつではなく、
 患者「先生、私、手術するの、初めてなんですけど、大丈夫でしょうか。」
 医者「心配する事はありません、私だって、手術するの初めてなんですから。」
などといったものだから、かなり高度である。
 ミドルベリー大学での実際の授業風景は畑佐校長のホームページ(初級者からできる日本語学習者による小噺プロジェクト)で見ることができる。
 そこでは、学生さんたちの練習風景だけでなく、さん喬師匠や左龍師匠が実際に落語の仕草を紹介している映像も見ることもできる。日本語教育には興味は無いが、落語は好きだという方でもじゅうぶん楽しめるホームページだと思う。
 以前筆者もお茶ノ水女子大学で開催された、留学生たちの小噺の発表会を見に行ったことがある。このような教育を受けた外国人が一人でも増えれば、日本の文化は漫画・アニメだけではないということを世界にもっと広めてもらえるのではないかと思った。
 その講師の一人、左龍師匠が日野市の実践女子大学で外国人に対する小噺の指導の様子を紹介し、さらには落語まで披露するという。
 筆者は左龍師匠とは古い付き合いで、数年前に『使ってみたいイキでイナセな江戸ことば』という師匠の著書を担当させてもらったことがある。
 講演会では、小噺指導の際の愉快な裏話もたっぷりと聞かせてくれるはずである。
実践女子大学国文科特別講演(参加費無料・一般参加可!!)
柳亭左龍師匠『落語&トーク笑(show)―笑いで広がる言葉と文化―』
日時:2011年11月15日(火)14:45~
場所:実践女子大学 香雪記念資料館 大教室
くわしくはこちら→http://www.jissen.ac.jp/kokubun/info/sub_txt/10.html

キーワード:

さらに悩ましい国語辞典
―辞書編集者を惑わす日本語の不思議!―

日本最大の辞書『日本国語大辞典』の編集者はまだまだ悩んでいる! 辞書で定義しずらい言葉の悩み辞書にした「悩ましい国語辞典」の第2弾。
そんたく【忖度】[名]「忖」も「度」もはかるという意味。他人の心を推し量ることで「なにか配慮をする」の意味はない。/しんしゃく【斟酌】配慮までする意味なら「忖度」でなく、「斟酌」の方がしっくりする。この語「手加減する」と意味は変化し続け、今、忖度で起きている現象が斟酌でも起きている……

悩ましい国語辞典
―辞書編集者だけが知っていることばの深層―

「日本国語大辞典」の編集担当者を惑わすことばの不思議スリリングに揺れる日本語の深さ! 面白さ満載!
「うがった見方」は「疑ってかかるような見方」ではない/「悲喜こもごも」を合格発表の描写で使うのは誤り/「まじ! 」は、江戸時代の小説に使用例がある/スコップとシャベルはどちらが大きいか?西日本と東日本では違う/「谷」を「や」と呼ぶのは音読みでも訓読みでもない方言/「あばよ」の語源は幼児語の「アバアバ」

ジャパンナレッジとは

ジャパンナレッジは約1500冊以上(総額550万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る