(モーツァルトノシュウキョウオンガク)
カルル・ド・ニ 著/相良憲昭 訳
広く愛され、親しまれているモーツァルト作品の一割以上は宗教音楽だが、『レクイエム』など二、三を除けば、あまり知られていない。本書は音楽理論・音楽史のみならず、聖書やカトリック典礼に関する深い造詣にもとづいて書かれた貴重な入門書。カトリック典礼の理解の一助として「ミサの式次第」を付した。
(オーケストラ)
アラン・ルヴィエ 著/山本 省、小松敬明 訳
ベートーヴェンやベルリオーズの作品分析など、多くの重要な管弦楽作品の楽譜を参照しながら、その歴史を追い、手法を解明する。さまざまな編成の楽器アンサンブルが要求される、現代の管弦楽団が直面している課題をも検討し、その展望を語る。バッハからクセナキスにいたる管弦楽の楽器編成一覧表収録。
(ソルフェージュ)
ジャン=ポール・オルスタイン 著/八村美世子 訳
ソルフェージュは、読譜力を養い、暗譜や聴音の能力を高め、楽曲形式を理解させるための基礎訓練である。本書は、そうした実際的側面に加え、個々の音楽感性の育成に不可欠なものとしてソルフェージュを捉えた総括的な解説書である。豊富な譜例と注によって音楽に触れる喜びはさらに高められる。
(ショモツノレキシ)
エリク・ド・グロリエ 著/大塚幸男 訳
活版印刷発明以来、書物は人類の精神文化の象徴の地位を保っている。本書は書物の起源から最新のマイクロフィルムやマイクロカードにいたるまで、古今東西の書物の全歴史をたどり、印刷、装幀、挿絵、出版、販売、普及など、書物に関するあらゆる問題を細大もらさずに解説する。特に中世、近代に詳しい。
(ビガク)
ドニ・ユイスマン 著/吉岡健二郎、笹谷純雄 訳
プラトンから現代にいたる美学の歴史を、芸術の哲学としての美学というへーゲル以後の美学理論によって手際よく解説する。芸術の本質、美と人間心理との関係、さらに芸術と科学・宗教・社会・産業とのかかわりにも触れながら、芸術の在り方を探り、「芸術の意味」と「芸術の価値」とを明らかにする。
(フランスシノレキシ)
ジャン・ルースロ 著/露崎俊和 訳
武勲詩、抒情詩を生んだ中世、生を謳歌するルネサンス、さらに古典主義の勃興を経てフランス詩は次第に成熟してゆく。そして、ロマン主義、サンボリスムの豊かな成果のうえに、20世紀の多彩にして華麗な作品が花開いた。フランス詩の起源から現代まで、豊富な引用を交えて概観する格好の入門書。
(スポーツノレキシ)
レイモン・トマ 著/蔵持不三也 訳
サッカーや野球に代表される、近代スポーツ隆盛の背景は何か。本書はそれを知る手引きとして最適である。文明の歩みとともに変容してきたスポーツの歴史を、ホイジンガやカイヨワらの理論を踏まえながら、詳細に解説する。なお、巻末の「付論・日本のスポーツ史」(寒川恒夫)は日本版のみの特典。
(カイガノギホウ)
ジャン・リュデル 著/黒江光彦 訳
材料の選択やそれを使いこなす技術ぬきに芸術作品は存在しない。本書は、絵画のマティエールの種類を並列的に論ずるのではなく、時間を軸に「技法史」的にたどりながら、画家が己れのヴィジョンをいかに素材と技法に託してきたかを詳述する。その結果として得られた作品の画面構成と色彩の問題にまで解きおよぶ。
(ケンチクノレキシ)
ジャン=シャルル・モルウ 著/藤本康雄 訳
神殿や霊廟で知られる古代エジプトや、建築家の個性が前面に押し出されて「芸術」としての建築が確立されたルネサンス期。そうした各時代、各文明によって建物の構成がどのように変化していったかを、構造形式や材料に即して詳述する。建築を、目に見える詩(ポエジー)だとする異色の概説書。
(コメディ=フランセーズ)
パトリック・ドゥヴォー 著/伊藤 洋 訳
コメディ=フランセーズは、フランスの国立劇場として3世紀を超える歴史の激動に耐え、数々の名優と名作を生んできた。この世界に類のない劇場の誕生から今日にいたる苦難と栄光の道のり自体が、興味尽きない壮大なドラマである。文化行政の場にさまざまの示唆を与えるその組織や運営にまで論及した好著。