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中生代に産した裸子植物イチョウ類に属する植物。三畳紀後期から白亜紀初期にかけ世界的に分布した。イチョウ類の葉形は、葉が多数の裂片に分かれているバイエラ属から、中程度に裂けたギンゴイテス属Ginkgoitesへ、そしてほとんど裂片に分かれないイチョウ属Ginkgoへと変化傾向のあることが知られている。しかし、葉形による分類は機械的で、現在では4本以下の脈を有する細裂片に分かれたものをバイエラ属、4本以上の脈をもつ裂片に分かれたものをイチョウ属に分類し、中間のギンゴイテス属はイチョウ属に含める場合が多くなっている。一般にジュラ紀中期くらいまではバイエラ属が卓越し、それ以降はイチョウ属とされる型が出現する。
日本の中生代のイチョウ類は山口県美祢(みね)市大嶺(おおみね)町や岡山県高梁(たかはし)市成羽(なりわ)町の三畳系の地層から多産するが、裂片が20~30に及ぶバイエラ・アサダイB. asadai型、裂片が10内外のギンゴイテス・シビリカG. sibirica型、それに2~4裂片にしか分かれないイチョウ型が共存している。このような変異が同一個体の異なる場所における葉の形態の違いを示すものかどうか議論されている。同一種とする場合、これを表す名称としてバイエラ・フルカータB. cf. furcataが使用されている。