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昆虫綱鱗翅(りんし)目シジミチョウ科に属するチョウ。日本では本州の特産種で、現在まで、岩手、福島、埼玉、神奈川、山梨、長野、岐阜、滋賀、京都、大阪、三重、兵庫、鳥取、岡山、島根、広島の諸府県に産地が発見されているが、その発生地は一般に狭い場所に限られる。そのうち、鳥取市の生息地は国の天然記念物に、神奈川県相模原(さがみはら)市緑(みどり)区の生息地のチョウは同県の天然記念物に指定されている。外国では朝鮮半島に産することが知られているだけである。はねの開張30~37ミリメートル程度。はねの表面は黒褐色、雄では強く紫色に光る部分がある。雌雄とも裏面の地色は黄色で、黒褐色の帯状紋と斑点(はんてん)が虎斑(とらふ)状に並び、きわめて特徴のある模様をつくる。年1回の発生で、暖地では6~7月、寒冷地では7~8月に出現する。生態的に特異なチョウで、幼虫は樹上に造巣するハリブトシリアゲアリの巣またはその近辺にすみ、アリから口移しに餌(えさ)を与えられて育つ。