人口1000人に対する1年間の出生数の比率のことで、普通出生率ともいう。パーミル(‰)で表示する。一つの人口集団が子どもを産む力を出生力といい、出生率は出生力を測定する指標である。2021年(令和3)の日本の出生率は6.6‰である。
1年間の出生数を母親の年齢別に分類し、年齢別女子人口1000人に対する出生数の比率を計算したものが年齢別出生率である。分母にとる女子人口を有配偶人口に限定して年齢別出生率を計算したものが、有配偶出生率である。また、15~49歳までの年齢別出生率を合計したものが合計特殊出生率(合計出生率)である。合計特殊出生率は、1人の女性が一生の間に何人の子どもを産むかの指数であり、少子化問題に関連して引用されることが多い。2021年の合計特殊出生率は1.30で、自然増と自然減の境目とされる2.07を下回り、少子化が進んでいることを示している。そして合計特殊出生率は、通常、15~49歳の女子人口1人当りの子どもの数に相当する。1.30人の子どもは男児と女児の合計であって、女児だけの年齢別女児出生率の合計を総再生産率という。2021年の総再生産率は0.64になる。女子人口1人について0.64人しか女児を産まないとすれば、親の世代から子の世代に移るときの人口が減少することになる。さらに、産まれてから死亡する子どもの数を差し引いた純再生産率は0.63(2021)である。
日本の合計特殊出生率は、1925年(大正14)には5.11で、その後しだいに低下しつつあったが、第二次世界大戦後の第一次ベビーブーム期の1947年(昭和22)には4.54に上昇した。その後は漸減し、1966年の丙午(ひのえうま)の年に一時的に1.58に下がったものの、1971~1974年の第二次ベビーブーム期には2.16まで上昇した。しかし以降は低下が続き、1975年に1.91と、2.00を下回ってから下がり続け、1989年の数値では1966年丙午の1.58をさらに下回る1.57となり「1.57ショック」として注目され、少子化への関心が高まった。1999年(平成11)には1.34となり、2000年(平成12)に1.36と盛り返したものの、2005年に1.26まで落ち込み、その後やや上昇するも2015年をピーク(1.45)にふたたび減少し始め、2021年(令和3)には1.30まで低下している。
厚生労働省の人口動態統計によると、2021年の出生数は81万1622人となっている。前年の84万0835人より2万9213人減少し、1899年(明治32)の人口動態調査開始以来最少となった。こうした年次推移の背景として、2006年からの上昇傾向は、第二次ベビーブーム期の1971~1974年生まれの「団塊ジュニア」世代が出産の時期を迎えていたが、2014年にはこの世代の出産が減ったことが影響している。また、女性が第1子を産む平均年齢は30.9歳となり(2021)、出産の高齢化に歯止めがかかっていない。高齢初産の比率が高まれば、第2子以降の出産が減ることが容易に想像され、将来的な出生率はさらに低下する可能性が高い。