カジノを中心に宿泊施設、会議施設、テーマパーク、商業施設などを一体的に整備する統合型リゾート(Integrated Resort:IR)の設立を推進する基本法。議員立法として、2016年(平成28)12月に公布・施行された。正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(平成28年法律第115号)。日本で禁じられたカジノ解禁につながることから「カジノ法」「カジノ解禁法」「カジノ推進法」ともよばれる。IR推進法は、IRを観光振興や地域活性化につながる施設が一体的に整備された区域と定義し、適切な国の監視と管理のもとで、民間事業者が運営すると規定。実際のIR整備は自治体の申請に基づき、国が認定する。IR推進法施行後1年以内をめどに、日本政府は、推進本部(本部長は首相)の設置、カジノ規制の基準づくり、ギャンブル依存症対策などを盛り込んだ実施法案を策定する義務がある。安倍晋三(あべしんぞう)政権は成長戦略の一つとして民設民営のカジノ解禁を掲げており、東京、大阪、北海道などIR整備を研究・検討している自治体は30を超える。一方でカジノ解禁については、各種世論調査で賛否が二分されており、ギャンブル依存症者が増えるとの懸念やマネー・ロンダリング(資金洗浄)などの犯罪対策が必要との声もある。
IRは、カジノの収益をてこに、ホテルなどの宿泊施設、国際会議場、テーマパーク、商業施設、ブランド店、レストラン、フードコート、劇場・映画館、プール・スポーツ施設などを一体的に整備したリゾート施設。外国人観光客を増やす目的で、20世紀末からシンガポール、韓国、オーストラリアなどを中心に世界的に設立ラッシュが続き、外国人観光客の誘致に一定の成果をあげている。IRには、カジノ施設が乱立し自由に入場できる「ラスベガス・マカオ型」と、自国人が入場する際に制限する「シンガポール型」がある。
[矢野 武]