身体の異常や病気の有無を調べるため、患者から採取した血液や尿などの検体に使用する検査薬。医薬品医療機器等法では体外診断用医薬品とよぶ。本来は医療機関において患者から採取した検体に使用する医療用検査薬のみ存在したが、1989年(平成1)、一定条件を満たした検査薬について市販薬への転用が認められた。1991年に尿糖、尿タンパクの検査薬がそれぞれ一般用検査薬(OTC検査薬)として初めて販売が開始された。さらに1992年に妊娠検査薬、2016年(平成28)に排卵日予測検査薬が発売された。また2020年(令和2)からの新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)流行を受け、2022年に新型コロナウイルス抗原検査キット、新型コロナウイルス/インフルエンザウイルス抗原検査キットの2種類が発売された。
医療用検査薬の一般用検査薬への転用は2014年の厚生労働省局長通知(「一般用検査薬の導入に関する一般原則」、以下「一般原則」)で規制されている。「一般原則」では転用可能な検査薬の検体を尿、糞便(ふんべん)、鼻汁、唾液(だえき)、涙液など「侵襲のないもの」に限定し、穿刺(せんし)血や咽頭(いんとう)ぬぐい液、口腔(こうくう)内擦過(さっか)検体などは「侵襲性がある」として対象外にしている。これに対しOTC医薬品協会など業界団体は、穿刺血を用いた血糖値や血中脂質の検査機器などを念頭に「一般原則」の見直しを求めており、厚生労働省の審議会で議論が続いている。
また類似した存在として近年急速に普及している、郵送した尿や唾液などの検体を基に事業者が疾患リスクを判定するサービスがある。これらは検査薬や検査システム自体を事業者が所有して検査するため、法の規制対象となっていないが、これを問題視する議論もある。