ものづくりを支える中小企業が、日本の製造業の国際競争力強化や新たな事業の創出にとって必要不可欠な存在であることにかんがみ、中小企業の担うものづくり基盤技術の研究開発およびその成果利用への支援を通じて、その高度化を図り、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律。正式名称は「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」といい、2006年(平成18)4月に制定された(平成18年法律第33号)。同年6月施行。2020年(令和2)6月に「中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律(令和2年法律第58号。中小企業成長促進法)」が公布、同年10月に施行されたことにより、本法は廃止された。
本法では、まず経済産業大臣が「特定ものづくり基盤技術」を指定した。「特定ものづくり基盤技術」とは、「ものづくり基盤技術振興基本法(平成11年法律第2号)」に規定するものづくり基盤技術のうち、「当該技術を用いて行う事業活動の相当部分が中小企業者によって行われるものであって、中小企業者がその高度化を図ることが我が国製造業の国際競争力の強化又は新たな事業の創出に特に資するもの」をいい、組込みソフトウェア、鋳造、金属プレス加工、めっき、発酵など20の技術分野が指定された。また、経済産業大臣は、中小企業が目ざすべき技術開発の方向性を取りまとめた「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」を定めなければならないとされ、中小企業は、同指針に基づいて「特定研究開発等計画」を策定し、経済産業大臣に対し、認定の申請をすることができるとされていた。経済産業大臣は、申請された計画を審査し、技術指針に照らして適切なものであり、研究開発が遂行可能な実施体制であることなどの要件に合致している場合に認定した。中小企業は、認定を受けると、研究開発の助成(予算措置)などの支援措置を受けることができるとされていた。
なお、本法に定められていた「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」は、法律の廃止以降も改正されて、運用されている。また、「特定研究開発等計画」は、「中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)」に基づく「経営革新計画」に統合された。