子ども虐待防止啓発運動。運動の名称は、オレンジリボンがシンボルマークとして使われていることに由来する。2004年(平成16)、栃木県小山(おやま)市で父親の友人によって二人の幼児がたび重なる暴行を受けたあげく殺害された事件を契機に、小山市の民間団体「カンガルーOYAMA」により2005年に開始された。そして、NPO法人「里親子支援のアン基金プロジェクト」による協力を経て、2024年(令和6)時点で、認定NPO法人「児童虐待防止全国ネットワーク」が運動の総合窓口を担っている。
オレンジ色は、子どもたちの明るい未来を表す色として里子たちにより選ばれた。同ネットワークのオレンジリボン憲章では、「子どものいのちと心を守る」「家族の子育てを支援する」「里親と施設の子育てを支援する」「地域の連帯を広げる」を通じて「子ども虐待のない社会」を目ざすことが理念とされている。
国は、児童虐待問題に対する関心と理解を得ることを目的に、毎年11月の児童虐待防止月間を中心に、児童虐待防止推進全国フォーラムの開催などの「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」を実施し、ポスターやリーフレットによる「児童相談所虐待対応ダイヤル:189(いちはやく)」や「親子のための相談LINE」の広報など、児童虐待防止の啓発を図っている。自治体も職員によるオレンジリボンの着用をはじめ、さまざまなイベントなどによる啓発活動を実施している。民間分野では、オレンジリボンマスクの配布による「189」の周知やオレンジ色のたすきをつなぐ「オレンジリボンたすきリレー」、子ども・子育て支援を通じた虐待予防イベントのオレンジリボンフェスタ(フォーラム)、音楽イベントの開催など、各民間分野の特性を生かした多様な活動が行われている。また、企業では、「オレンジリボン」を冠したスポーツイベントの開催、自社の広告媒体を利用したオレンジリボンの啓発、社員のオレンジリボンバッチの着用、オレンジリボンマークを付した商品の開発など、それぞれの業態と特徴を生かした啓発活動が行われている。