しょうがい【障碍】
読者カード 用例 2019年05月09日 公開
用例: | 元亨二年の春の比より、中宮懐姙の御祈とて、諸寺・諸山の貴僧・高僧に仰て様々の大法・秘法を行はせらる。中にも法勝寺の円観上人、小野文観僧正二人は、別勅を承て、金闕に壇を構、玉体に近き奉て、肝胆を砕てぞ祈られける。仏眼、金輪、五壇の法・一宿五反孔雀経・七仏薬師熾盛光・烏蒭沙摩、変成男子の法・五大虚空蔵・六観音・六字訶臨、訶利帝母・八字文殊、普賢延命、金剛童子の法、護摩煙は内苑に満、振鈴の声は掖殿に響て、何なる悪魔怨霊なりとも、障碍を難成とぞ見へたりける。 |
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『太平記』 応安4年(1371年)年 不詳 | |
語釈: | 〔名〕(1)(─する)さまたげをすること。じゃまをすること。また、そのさまたげとなるもの。さわり。しょうげ。 |
コメント:
編集部:これが「しょうがい」と読めれば、第2版の初出『史記抄』(1477)よりも早まる可能性がありますが、該当箇所を小学館版『新編日本古典文学全集』で調べますと「悪魔怨霊なりとも、障■(=碍字の旁の部分)(シャウゲ)をなしがたしとぞ見えたりける」とあります。当時「障碍」は呉音で読まれた可能性があるのは、日本国語大辞典の「しょうげ(障碍)」を見るとわかります。読みに揺れがあるときは「確例」を採用するようにしているので、このままでは「しょうがい」の例とはしにくいですね。ちなみに、古典全集版『太平記』の底本は凡例によれば天正本、振り仮名は元和8年・寛永8年整版本などによっています。引用の際は、出来るだけ資料の情報を詳しく教えていただけると助かります。デジタルデータベースであったとしても、どこのデータベースなのかがわかれば底本情報も確かめられます。以上、よろしくお願いします。
著書・作品名:太平記
媒体形式:その他
刊行年(月日):応安4年(1371年)年
著者・作者:不詳
掲載ページなど:
発行元: