おおいぶた【覆蓋】
読者カード 用例 2024年07月21日 公開
用例: | 甲羅の裏についてゐる蓋ひぶたの中に蓄へられる。この蓋ひぶたは、蝦にすれば、腰の曲つた胴体に相当するものである。 |
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『母性愛の蟹』 1958年4月5日 中谷宇吉郎 | |
語釈: | 〔名〕上からおおいかぶせて用いるふた。 |
コメント:第二版には多くの用例がありますが、漢字欄にある「蓋」表記の例がないので。第二版には「おおいぶた【覆蓋】」が立項されていますが、この語釈はないようで、ただ「甲羅の裏についてゐる」ものが「蓋ひぶた」とよばれるかわからないので、とりあえず漢字表記の例として。
編集部:「おおう」の表記の例としてご紹介いただいていますが、「おおいぶた」の「おおい」は「おおう」の連用形「おおい」が名詞化したものと考えられ、したがって「名詞」と「名詞」が複合したことばとしてとらえざるをえません。とすれば、これは「おおいぶた」の用例ということになりますが、こちらの表記の例としても面白いですね。語釈については、「甲羅の裏についてゐる」ものは、まさに「かぶせて用いる蓋」のようなものなので、この例とすることができます。
著書・作品名:母性愛の蟹
媒体形式:雑誌
刊行年(月日):1958年4月5日
著者・作者:中谷宇吉郎
掲載ページなど:47ページ本文7行目〔『あまカラ第八十号』、昭和三十三年四月五日発行〕(国立国会図書館デジタルコレクション)
発行元:甘辛社