日国友の会

パミール

読者カード 語釈 2024年08月06日 公開

2023年06月24日 ubiAさん投稿

用例:玉門關を越えて、太平洋の水域の勢力の限界を一步出ると、その西は遙かに世界の屋根葱嶺(パミール)に至るまでの所謂支那トルキスタンの地方は、
『西遊記の夢』 1942年 中谷宇吉郎
語釈:(Pamir)中央アジア南東部の高原。タジキスタンを主に中国・アフガニスタンなどにまたがる。天山・ヒンズークシ・カラコルム・崑崙(こんろん)山脈などが接し、平均標高は約5000メートルで、世界の屋根と呼ばれる。葱領(そうれい)。〔cf.『大辞泉』〕

コメント:投稿例(1941)より新しいですが、同じ「高原」としての例で、「世界の屋根」と言われている事が分かる例なので。ルビでの例です。デジタル大辞泉「パミール高原」は、「⇒パミール」となっており、「パミール」は「中央アジア南東部の地方。タジキスタンを主に中国・アフガニスタンなどにまたがる。天山・ヒンズークシ・カラコルム・崑崙(こんろん)山脈などが集まる大山系と高原とからなる。平均標高は約5000メートルで、世界の屋根と呼ばれる。葱領(そうれい)。パミール高原。」と、大辞泉の語釈と変わっているようです。語釈は投稿例(1941)からです。初出紙誌の情報はなく、タイトル下に「昭和十七年十二月」とあります。

編集部:パミールに「葱嶺」を当てた例として貴重ですね。語釈については、大山系と高原を含めた地名として記述するのか。あるいは高原に特化した地名とするのか、用例を整理しつつブランチ分けを(パミールとパミール高原)検討する必要があります。

著書・作品名:西遊記の夢

媒体形式:単行本

刊行年(月日):1942年

著者・作者:中谷宇吉郎

掲載ページなど:64ページ本文5行目〔『樹氷の世界』、昭和十八年九月二十日 初版發行〕

発行元:甲鳥書林