日国友の会

ケルカリア

読者カード 用例 2024年06月03日 公開

2024年04月25日 まきすけさん投稿

用例:卽ちこのケルカリアといふ字は『ケルコス(尾)を持つもの』といふ程の意味であるから、『有尾仔蟲』が最も適當であらう。
『發育期にある寄生蠕蟲の仔蟲に附せられた名稱の譯語について』 1928年3月 緖方和三郞、緖方富雄
語釈:〔名〕(ラテン cercaria)肝吸虫(肝臓ジストマ)、肺吸虫(肺臓ジストマ)、カンテツなど扁形動物の発育期の一名。一般におたまじゃくし形をしていて、第一中間宿主の淡水産巻貝の体内から水中に泳ぎでて、第二中間宿主、または、終宿主(カンテツの場合)の体内にはいる。

コメント:セルカリアの異形で、語釈が独立しているのは不自然。

編集部:第2版の「ケルカリア」は「(ラテン cercaria)肝吸虫(肝臓ジストマ)、肺吸虫(肺臓ジストマ)、カンテツなど扁形動物の発育期の一名。一般におたまじゃくし形をしていて、第一中間宿主の淡水産巻貝の体内から水中に泳ぎでて、第二中間宿主、または、終宿主(カンテツの場合)の体内にはいる」となっていますが、たしかに、おなじ対象をさしているので、どちらかを正見出しとして、もう一方の語釈はそれを参照させ〈「」に同じ。〉すべきところですね。国語辞典では、三省堂の『大辞林』が「セルカリア」を正見出しとし「ケルカリア」はそれに同じとしており、『デジタル大辞泉』はその逆になっています。一方、『日本大百科全書(ニッポニカ)』、専門的な辞書では、『岩波生物学辞典』『旺文社生物辞典』などは「セルカリア」を正見出しとしています。いずれにしても、専門的な再検討を要しますね。

著書・作品名:發育期にある寄生蠕蟲の仔蟲に附せられた名稱の譯語について

媒体形式:雑誌

刊行年(月日):1928年3月

著者・作者:緖方和三郞、緖方富雄

掲載ページなど:医事新聞 1231号 314ページ https://dl.ndl.go.jp/pid/1534054/1/25

発行元:医事新聞社