せつなしょうべん【切小便】
読者カード 項目 2002年12月25日 公開
用例: | 廊下や風呂場の簀子に、ノラが引つ掛けたと思はれる苦しまぎれの刹那小便(セツナセウベン)の痕が点点と散らかつてゐる。 |
---|---|
『ノラや』 1957年年 内田百間 | |
語釈: | 〔名〕せつなさのあまりに、たれる小便。 |
コメント:語釈は「せつなぐそ」のものを応用しましたが、内田百間は「進退窮まった刹那にもらす小便」と解釈しているのかもしれません。造語かもしれません。
編集部:「せつな~」という語形は江戸時代後期以降、けっこう使われたようですね。第2版では「せつなぐそ(切糞)」(柳多留・吾輩は猫である)のほかに、「せつなっぺ・せつなべ(切屁)」(黄表紙・滑稽本)などというのもあります。また、「せつなべ(切屁)」は静岡県榛原郡の方言としてもあり、「力仕事やむずかしい仕事で苦し紛れに放つ屁」という意味のようです。
著書・作品名:ノラや
媒体形式:単行本
刊行年(月日):1957年年
著者・作者:内田百間
掲載ページなど:25ページ
発行元:『ノラや』中公文庫2002.02改版3刷