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あおはあいよりいでてあいよりあおし【青は藍より出でて藍より青し】

読者カード 用例 2003年01月21日 公開

2003年01月21日 Yeemarさん投稿

用例:諸仏のりやくも苦ある者にひとへに重し。されば愚痴のやからをりやくする方便こそ、実に深き慈悲のいろ、こまやかなる善巧のかたちなれば、青き事は、藍よりいでて藍よりも青きがごとく、尊き事は、仏よりいでて仏よりもたときは、たゞ和光神明の慈悲利益の色なるをや。
『沙石集(貞享版)』 1283年年 無住
語釈:(「荀子‐勧学」の「学不可以已、取之於藍、而青於藍、冰水為之而寒於水」から出た語。青色の染料は藍から取るが、原料の藍よりも青いの意から)教えを受けた人が教えた人より優れること。弟子が師よりまさっていることにいう。藍より出でて藍より青し。出藍(しゅつらん)の誉。氷は水より出でて水より寒し。

コメント:本地垂迹説にもとづき「神は仏より出でて仏より尊し」というような意味のことを言いたいようです。第2版の語誌には日蓮遺文の弘安二年(1279)の「あいよりもあをく……」というのが載っており、それよりは遅い例ですが、形としてはこちらが整っているかと思います。日本古典文学大系もまあまあ同文のようです。

編集部:米沢本では「青きことは藍より出て藍(あい)よりも青か如く」(p10)、梵舜本では「青き事は藍(あゐ)より出(いで)て藍より青きが如く」(p67)とあり、ほぼ同等と言えますね。「青は」ではなく「青きことは」となっていますが、中世ごろまでは、いきなり「(藍より出て)藍より青し」となることが多いわけですから、その前に「青(きこと)」がくるのは貴重な例といえますね。

著書・作品名:沙石集(貞享版)

媒体形式:単行本

刊行年(月日):1283年年

著者・作者:無住

掲載ページなど:上巻28ページ

発行元:岩波文庫