白川 静(しらかわ・しずか)
中国文学者であり漢字研究の第一人者。立命館大学名誉教授。文学博士。
1910(明治43)年、福井県に生まれる。尋常小学校を卒業後、後に民政党の代議士となる広瀬徳蔵の事務所で働きながら夜間の立命館大学専門部国漢科に通う。このとき、広瀬氏の蔵書の中から[国訳漢文大成]などに親しみ、単に読むだけではなく、平仄を調べ書写するなど、このときの経験が後の漢字学への研究につながっていく。
立命館中学教諭を経た後、1941(昭和16)年、31歳で立命館大学法文学部漢文学科に入学し、卒業後、同大予科教授、1954(昭和29)年より立命館大学教授を務める。
1970(昭和45)年、岩波新書より「漢字」を刊行。白川漢字学が一般の目に触れるはじめての書籍となる。以降、「詩経」(中公新書)、「金文の世界」(平凡社東洋文庫)、「孔子伝」(中央公論社)など一般読者のために次々と書き下ろす。
1984(昭和59)年、50年に及ぶ研究成果を盛り込んだ漢字の字源辞典「字統」 を刊行、続いて「字訓」を刊行。この「字統」「字訓」等の文字研究により1991(平成3)年に菊池寛賞を受賞する。1996(平成8)年には13年半かけた漢和辞典「字通」を刊行し字書三部作が完成した。
1997年(平成9)年、50年以上にわたる中国の古代文化研究および古文字研究に対し、1996年度朝日賞を受賞。同年4月、文字文化研究所所長、理事長となる。翌年には文化功労者として顕彰される。
2004(平成16)年文化勲章受章。講演、研究に精力的に活動。
2006(平成18)年10月30日、96歳で死去。