日本大百科全書(ニッポニカ)

胃ポリープ
いぽりーぷ

胃の粘膜上皮が異常増殖して胃内腔(いないくう)に突出した病変。その形状は多様で、有茎性のものをはじめ、半球状や扁平(へんぺい)型などもあり、表面が滑らかなものや凹凸のあるもの、また絨毛(じゅうもう)状のものもある。多くは単発性であるが、複数のポリープを有したり、多発することもある。大きさは1センチメートル以内であることが多いが、ときに2センチメートル以上のものもみられる。
 ポリープは厳密には前述のとおり胃粘膜の病変であるが、臨床的には胃粘膜の病変に限らず、胃粘膜がなんらかの原因で隆起した形態を呈した場合も含まれることが少なくない。胃のX線検査(バリウムを用いたX線二重造影)でこのような胃の病変をみいだした場合、その病変が巌密な意味での胃ポリープであるかどうかを鑑別できない場合もあり、上部消化管内視鏡検査などの精査によって隆起性病変の評価がなされる。臨床的に問題になるのは、そのポリープが良性なのか、悪性あるいは悪性に移行する可能性があるものかどうかである。
 胃ポリープはおもに、良性のまま経過する「胃底腺(いていせん)ポリープ」、萎縮(いしゅく)性胃炎を背景としている「過形成性ポリープ」、悪性化の可能性がある腫瘍(しゅよう)の性格をもった「胃腺(せん)腫」に分けられる。萎縮性胃炎を認める場合、早期胃がんを含めた悪性腫瘍を併存する場合があるため、ポリープ以外の背景胃粘膜についても上部消化管内視鏡による評価が行われる。
 胃ポリープに対する治療は、腺腫が否定できない場合や悪性が疑われる場合、径が大きい場合などで考慮される。内視鏡下で生検を行い、組織検査・診断の結果をみて経過観察をするか、ポリープ切除が行われる。ポリープ切除術(ポリペクトミー)は内視鏡下で行われ、切除された病変は病理診断にてがんの有無が評価される。がんでない場合であっても、異型度やポリープの径、切除断端の評価(採り切れているかどうか)や、背景粘膜の萎縮の有無などから、経過観察や再検査などフォローアップの方針が検討される。
[渡邊清高]2019年5月21日