国土交通省が公表する全国の土地価格。土地の代表的な公的指標価格で、一般の土地取引のほか、金融機関の担保算定や、公共事業用地の取得の際の目安として活用されている。土地価格の情報格差を解消する目的で、地価公示法(昭和44年法律第49号)に基づき、1970年(昭和45)から公表が始まった。毎年1月1日時点の土地価格を調べ、同年3月に単位面積(1平方メートル当り)の価格を千円単位で公表する。調査対象は市街地(都市計画区域など)を中心に全国約2万6000の標準地点(標準地)で住宅地、商業地、工業地、宅地見込地など用途に分けて公表している。東京電力福島第一原子力発電所事故など大規模災害の被害を受けた地点は調査を休止する。2000人を超える全国各地の複数の不動産鑑定士が土地価格を調べ、学識経験者で構成する土地鑑定委員会(国土交通省の付属機関)が審査して公示地価を決定、官報に公示する。建物の新旧などで価格に影響が出ないよう、土地を更地(さらち)の状態とみなし、実際に取引されていない土地を売買したと仮定し、2人以上の不動産鑑定士が推計した価格を参考に決める。このため実際の取引価格とは開きがあるとされている。景気がよくなると上昇する傾向があり、中長期的な景気動向をみる指標の一つである。
公的機関が調査・公表する地価には、公示地価のほか、都道府県の基準地価(全国の林地などを含む約2万地点強)、国税庁の路線価(全国の約33万地点強)、総務省の固定資産税評価額(3年ごとに公示地価から評価替え)などがある。土地基本法(平成1年法律第84号)は「国は、土地の正常な価格を公示するとともに、公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるものとする」と規定しており、路線価は公示地価の約8割、固定資産税評価額は公示地価の約7割を目安に決められている。
2019年5月21日