日本大百科全書(ニッポニカ)

水素結合
すいそけつごう
hydrogen bond 英語

二つの原子間に水素原子が入る化学結合。アメリカのポーリングによって提唱されたときは、水素橋結合といわれた。すなわち、水素原子が仲立ちとなって、電気陰性度の大きい二つの原子が弱い結合をつくると考えた。氷の中の水は、酸素原子が水素原子を仲立ちとしてダイヤモンド格子をつくっている。これを分子間水素結合という。o(オルト)-ヒドロキシベンズアルデヒドでは、オルト位のカルボニル基C=Oとヒドロキシ基-OHとの間に水素結合ができる。これを分子内水素結合という。水素結合の結合エネルギーは1モル当り約8.4~33.5キロジュール程度で、共有結合のそれの数分の1にあたる。いちばん強い水素結合は、フッ化水素にみられる(40数キロジュール)。水素結合の結果、種々の物性に異常性がみられる。たとえば、水は同族の硫化水素H2S、セレン化水素H2Seより沸点・融点ともに高い。また、酢酸や安息香酸は通常、水素結合を介して二量体(2分子が結び付いた会合体)として存在している。
[下沢 隆]