日本大百科全書(ニッポニカ)

ELIZA
いらいざ

1960年代にマサチューセッツ工科大学(MIT)コンピュータ・サイエンス学部教授を務めたJ・ワイゼンバウムJoseph Weizenbaum(1923―2008)によってつくられた文字による対話システム。相手の発話を理解することなく表層的な処理(構文解析とキーワードの抽出)だけを行う。特定のキーワードに対し、どのような反応をするかを記述したスクリプトをあらかじめ用意し、それに基づいて対話を続ける。なかでもDOCTORというスクリプトが有名である。これはmotherやchildといった肉親関係を表す名詞やdieなどの特定の動詞に対する対応をスクリプトとして記述しておき、それらの単語がユーザーから発せられたときに、あたかもそのことばを理解しているかのように反応するようにしてある。
 ELIZAは、簡単な仕組みだけで、話の内容を理解せずにそれらしく会話を続けるプログラムとして提示されており、知能をもつものとは考えられていない。典型的な対話は以下のようなものである。ELIZAは定型的反応、あるいは相手のいっていることを言い方をかえて繰り返しているだけである。
USER: I am unhappy. (うんざりしています)
ELIZA: Are you unhappy often? (しょっちゅううんざりしているのですか?)
USER: Yes. (ええ)
ELIZA: Can you elaborate on that? (もう少し詳しく話してもらえますか?)
USER: Too much work. (手がかかりすぎます)
ELIZA: Why do you say too much work? (どうして手がかかりすぎるのですか?)
[中島秀之]2019年7月19日