日本大百科全書(ニッポニカ)

代謝
たいしゃ
metabolism 英語

生体内のあらゆる物質変化の総称で、物質代謝、新陳代謝ともいう。また、生体がその生命活動を維持するための最小必要量のエネルギー量を基礎代謝という。生体の細胞内に存在する物質を同定してみると、その生物の摂取する食物が細胞内に存在するすべての分子を含んでいるわけではなく、生体内に取り入れられてから大きな変化を受けてつくられることがわかる。極端な場合には、グルコース以外のすべての有機物が、その体内で合成されるという生物もある。これらの変化は一段階でおこるのではなく、一連の化学反応を経て、いろいろな中間体を通る。この過程でみられる変化を中間代謝という。
 代謝は、比較的簡単な分子から複雑な化合物を合成する反応(同化)と、高分子や巨大分子など複雑な化合物から簡単な分子に分解する反応(異化)に大別できる。同化の過程はエネルギーを要求し、異化の過程ではエネルギーが遊離される。このように物質代謝とエネルギー代謝は密接に共役している。生体物質の合成と分解の反応は一連の化学反応によって達成されており、その道筋を代謝経路とよぶ。生体内でみられる化学反応は多数あるが、それらを整理すると、ごく限られた代謝経路を中心としていることがわかる。
[飯島康輝]