日本大百科全書(ニッポニカ)

武田薬品工業(株)
たけだやくひんこうぎょう

日本最大手の医薬品会社。東証上場。略称はタケダ、Takeda、武田薬品。医薬品などの研究開発・製造・販売・輸出入を主業務とする。アイルランドの医薬品大手シャイアーを約7兆円で買収するなど、M&Aによる規模拡大とグローバル展開に積極的である。
 1781年(天明1)初代武田(近江屋(おうみや))長兵衛(1750―1821)が大坂・道修町(どしょうまち)に創業した薬種商が源流。1925年(大正14)に武田長兵衛商店として会社組織に改組し、1943年(昭和18)に現社名とした。1914年に研究部を発足させ、1937年にビタミンC合成法を、1952年(昭和27)にビタミン剤アリナミン、1972年に日本初の合成ペニシリンのリラシリンを開発するなど技術力には定評がある。1950年代以降、飲料、食品、農薬、医用機器へ事業を多角化した。しかし2000年(平成12)以降、高血圧症、糖尿病などの新薬特許が相次いで切れ、がん、消化器系疾患、中枢神経系疾患などの治療薬の開発・製造・販売に注力し、再生医療市場にも参入した。アメリカのミレニアム(2008)、スイスのナイコメッド(2011)、アイルランドのシャイアー(2019)など海外医薬品会社を積極的に買収し、中国市場の開拓にも取り組んでいる。従業員は約2万7000人(2018。連結ベース)で、このうち3分の2は外国人である。トップは歴代創業者一族の武田家関係者が務めてきたが、2003年以降は経済同友会代表幹事の長谷川閑史(やすちか)(1946― )やグラクソ・スミスクライン幹部のフランス人クリストフ・ウェバーChristophe Weber(1966― )が社長を務めてきた。グローバル本社(東京都中央区日本橋本町)と大阪本社(大阪市中央区道修町)の東西2本社制をとる。資本金779億円(2018)。売上高は1兆7705億円(2018。連結ベース)で過半は海外売上げである。
[矢野 武]2019年7月19日