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がん抑制遺伝子の一つ。第5染色体長腕上に存在し、家族性大腸腺腫(せんしゅ)症(FAP)の原因遺伝子となる。家族性大腸腺腫症は、APC遺伝子にもともとみられる生殖細胞系列変異に、新たに体細胞変異が加わることで、前駆病変である異常腺窩(せんか)巣が発生する。生殖細胞系列変異は、精子または卵子を経由して受け継がれる変異であり、受精卵の時点で変異が存在するため、全身のすべての細胞にある遺伝子がその変異を受け継いでいる。これに対し、体細胞系変異は、生殖細胞以外の細胞に新たに生じる遺伝子変異をさす。異常腺窩巣は、さらに染色体不安定性などによる遺伝子異常が蓄積することにより、腺腫(ポリープ)を経て大腸がんに進展すると考えられている。また、大腸がんの発生にはKRAS遺伝子やTP53遺伝子などの発がんに関連する遺伝子変異も関与すると考えられている。APC遺伝子の生殖細胞系列変異の部位によって、腺腫密度に違いが生じることも知られている。
2019年8月20日