ジャパンナレッジ
結腸に発生するがん(悪性腫瘍(しゅよう))。大腸は結腸と直腸からなり、そのうち結腸に発生するがんが結腸がんである。結腸がんは、さらに盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸の5つの部分のがんに分けられる。大腸がんは、食生活の欧米化と人口の高齢化により、日本において増加の著しいがんであり、大腸がんの約70%が結腸がんである。結腸がんのうちS状結腸がんがもっとも多く、結腸がんの約半数を占める。がんの発生は粘膜細胞のがん化によるが、結腸がんでは大腸腺腫(せんしゅ)(ポリープ)のがん化によるものが大部分で、このほか正常細胞のがん化(de novo(デノボ)がん)や家族性大腸腺腫症(FAP)などの遺伝性大腸がん、潰瘍(かいよう)性大腸炎などの炎症を背景とするがんなどがある。
結腸がんは40歳以上に好発し、初期には無症状であるが、進行すると腹痛、腹鳴、血便、便秘、腹部膨満、腫瘤(しゅりゅう)触知などがみられる。早期診断には便潜血検査が有効であり、大腸がん検診(対策型検診)として40歳以上の男女を対象に年1回の便潜血検査が行われている。便潜血検査陽性の場合の精密検査や、疑わしい症状があるときには下部消化管内視鏡検査が行われる。ポリープなどの粘膜内病変に対しては内視鏡観察下でのポリペクトミー(内視鏡的ポリープ切除術)が行われ、病期(ステージstage)Ⅰ期以上のがんは手術による治療(外科治療)が行われる。遠隔転移をきたす場合、転移臓器は肝臓が多く、殺細胞性の抗がん剤や分子標的治療薬を用いた薬物療法が行われる。
2019年8月20日