国立大学法人。1887年(明治20)東京・上野に創設された官立の東京美術学校と東京音楽学校が前身。
東京美術学校は、1884年文部省内に図画教育調査委員が置かれ、官立美術学校の設立が決定されたことに端を発する。翌1885年文部省専門学務局に図画取調掛(とりしらべがかり)が置かれ、アーネスト・フェノロサや岡倉天心が創設の準備にあたった。この東京美術学校は、芸術家養成を目的として、普通科(2年制)では絵画・造型などの実技学科を、専修科(3年制)では日本画・彫刻・美術工芸を教授した。図画教員課程(1年制)では普通図画教員の養成を行った。その後、鋳金科、鍛金科、西洋画科、図案科、塑造科、図画師範科、製版科、建築科が増設され、1946年(昭和21)には、修業年限1年の予科、3~6年の本科(絵画、彫刻、工芸、建築)・師範科、2年の研究科からなる専門学校に発展した。
一方、東京音楽学校は、1879年文部省内に設置された音楽取調掛に起源を有する。初代の御用掛に任命されたのは伊沢修二であった。取調掛では内外音楽の調査をはじめ、東京師範学校・東京女子師範学校の附属学校で音楽教育を開始すると同時に、音楽教員の養成にも着手した。その後、音楽取調掛は音楽取調所と改称され、1887年東京音楽学校となった。その後も発展を続け、第二次世界大戦前にすでに修業年限4年の本科(声楽、器楽、作曲、邦楽)・師範科、2年の選科・研究科を有していた。
1949年(昭和24)東京美術学校と東京音楽学校が統合され、美術学部と音楽学部の2学部からなる新制の国立大学として、東京芸術大学と改称された。2010年(平成22)時点で、美術学部には絵画、彫刻、工芸、デザイン、建築、芸術学、先端芸術表現の7学科、音楽学部には作曲、声楽、器楽、指揮、邦楽、楽理、音楽環境創造の7学科が置かれている。一般の大学にはみられない個人指導による実技修練と、創造性の開発に教育の重点を置いている。研究者養成のための大学院(修士・博士)課程が設置されているほか、映像研究科がある。学内施設としては、大学美術館、言語・音声トレーニングセンターのほかに、美術学部附属古美術研究施設および写真センター、音楽学部附属音楽高等学校がある。2004年4月、国立大学法人法の施行に伴い、国立大学法人となる。所在地は東京都台東(たいとう)区上野公園12-8。