ジャパンナレッジ
π電子によって形成される化学結合。一重結合(単結合)はσ結合(シグマけつごう)のみであるのに対し、多重結合はσ結合とともにπ結合が加わったものである。π電子は結合軸に対して直角方向のp電子であり、結合軸からみて上部と下部とで電子雲(電子は原子核の周りに雲のように広がっている。このようすを電子雲とよんでいる。古典的には電子は1、2、3……個と数えているが、量子化学では各電子は雲の形で表す)の重なりをもつ。これがπ結合軌道であり、この軌道を利用した結合をπ結合という。π結合は結合軸をx軸にとるとき、py‐py、pz‐pz軌道の間に生ずる。共役二重結合の場合は、π結合が非局在化する。