オゾン層破壊や地球温暖化の原因となるフロンや代替フロンの排出を抑える目的の法律。正式名称は「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(平成13年法律第64号)。2001年(平成13)に制定されたフロン回収・破壊法を全面改正し、2015年に施行された。2019年(令和1)には、回収率を向上させるため、一度でも違反すると罰せられる改正法が施行された。エアコンや冷蔵・冷凍機の冷媒として使われるフロンについて、クロロフルオロカーボン(CFC)などのフロンは1995年(平成7)末に、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)などの代替フロンは2019年末までに補充用の生産・輸入を全廃すると規定。製造から使用、回収、処理にいたる全過程(ライフサイクル)で漏洩(ろうえい)しないよう適切な対策を実施し、フロン類に携わるすべての事業者・利用者に設備の点検や整備・修理履歴の記録・保存などの義務を課した。機器の整備不良や経年劣化でフロン類が漏洩しないよう、適切な場所への設置、任意充填(じゅうてん)の禁止などの義務も課している。二酸化炭素換算で1000トン以上漏洩した場合には報告義務がある。フロン類の製造・輸入事業者や機器メーカーには、温暖化効果の低い代替フロンへの転換を求めた。フロン類の充填事業者の登録制、再生事業者の許可制も導入された。2019年改正では、二酸化炭素の1万倍の温暖化効果のある代替フロンの回収が進まないため、不法廃棄や、フロン回収済み証明書の未発行など、一度でも同法に違反すれば罰則を科す。罰則は、みだりにフロン・代替フロンを大気中に放出した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金、機器点検などの義務について都道府県知事の命令に違反した場合は50万円以下の罰金、機器のリサイクル業者などにフロン回収済み証明書を発行しない場合は30万円以下の罰金、漏洩量の虚偽報告・未報告の場合は10万円以下の過料を科す。
1989年に発効したモントリオール議定書は、オゾン層を破壊する特定フロンの2020年(途上国は2030年)までの全廃を定め、2016年の改定議定書で代替フロンの生産・消費量を先進国は2036年までに85%削減することになった。日本では代替フロンの回収率は38%(2017年度)にとどまっており、2020年度に50%、2030年度に70%に引き上げる計画である。
2019年11月20日