日本大百科全書(ニッポニカ)

消費者契約法
しょうひしゃけいやくほう

消費者と事業者が交わすすべての契約で、虚偽説明や不適切勧誘があった場合に契約を取り消すことができるルールを定めた法律。平成12年法律第61号。2001年(平成13)4月施行。事業者のもつ情報の質・量や交渉力が消費者より圧倒的にまさっている状況を踏まえ、悪徳商法だけでなく、消費者に不利な商慣行などから消費者の利益を守る目的がある。
 消費者を保護し、取り消すことができる契約範囲を広げるため、消費者契約法はたびたび改正されている。2007年6月施行の改正法では、消費者にかわって、内閣総理大臣が認定した消費者団体(適格消費者団体)が事業者の不当行為を差止め請求できる消費者団体訴訟制度を導入した。2017年6月施行の改正法では、高齢者に何十着もの着物を販売するといった「過量販売契約」や、「シロアリがいて家が倒壊する」といった嘘(うそ)の説明をする「不実告知」による不当勧誘についても、取消し対象とした。また、不当勧誘に対する契約取消し期間を半年から1年へと延長した。2019年(令和1)6月施行の改正法では、契約を取り消せる不当勧誘の対象に、判断力が低下した高齢者に対する「つけこみ型商法」、就職できないなど根拠なく不安をあおって商品を売りつける「不安商法」、恋愛感情につけこむ「デート商法」、ガソリンスタンドで勝手にエンジンオイルを交換して代金請求するなど商品やサービスの「事前提供」などを加えた。事業者自らが損害賠償の責任の有無や限度を決める条項も無効とした。なお消費者契約法とは別に、訪問販売や電話勧誘などの取引手法に限定し、消費者保護を目的とする法律に特定商取引法がある。特定商取引法は、一定期間内の解約を認めたクーリング・オフ制度などを定めている。
[矢野 武]2019年12月13日