日本大百科全書(ニッポニカ)

セーブル磁器
せーぶるじき
porcelaine de Sèvres 英語

フランスのもっとも代表的な磁器の一つ。ドイツのマイセン窯(よう)、オーストリアのウィーン窯など、ヨーロッパが相次いで磁器の焼成に成功したのを受け、フランスでも1741年デュボア兄弟によってバンセンヌに磁器製作所が創設された。その後、国家の保護を受けてこのバンセンヌ窯はしだいに王立陶磁器製作所として発展し、東洋の磁器を模した優れた軟質磁器を製作した。セーブル窯は、1756年、国王ルイ15世の寵妾(ちょうしょう)で愛陶家のポンパドゥール夫人の提言により、バンセンヌ窯をセーブルの地に移転し、王立セーブル磁器製作所として再出発したのに始まる。以来1789年の大革命に至るまで、それまでの中国や日本の色絵磁器の模倣を脱し、画家ブーシェをはじめ多くの芸術家が動員され、フランスが誇るロココ趣味のもっとも優れた磁器が製作された。大革命により一時閉窯、その後ナポレオン時代にアンピール(皇帝)様式の磁器を焼成した。現在は国立となって、往時に劣らぬ高級磁器の製作に努めている。
[前田正明]