経営の悪化した企業が人員削減のために行う解雇。いわゆる会社都合の解雇で、通常、リストラ(リストラクチャリング)とよばれる解雇がこれに相当する。退職金を積み増し自発的に退職を促す早期退職制度とは異なるもので、人員削減の最終的な手段といえる。整理解雇を明記した法律はないが、判例によって確立した法律用語である。
解雇について、労働契約法第16条は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めている。このため整理解雇には、(1)赤字決算など経営を維持するため人員削減の客観的な必要性がある、(2)解雇回避の努力を履行している、(3)解雇対象者の人選の基準が合理的である、(4)労働者と雇用主との間で十分に協議・説明するなど手続きが妥当である、の4要件(整理解雇4要件)を満たす必要がある、と判例上確立している。これを満たさないと裁判官が判断した場合、不当解雇となる。労働基準法第89条は常時10人以上を雇用する企業は就業規則に「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」を記載しなければならないと定めており、企業は就業規則に整理解雇に関する事項を明記しなければならない。整理解雇する場合、30日前に予告する必要があり、猶予期間が30日より短い場合、解雇予告手当を払う必要がある(労働基準法第20条)。整理解雇に従業員が納得できなければ、従業員は訴訟を起こして司法判断を求めることになる。なお解雇には整理解雇のほか、従業員がきわめて悪質な規律違反や非行を行った際の懲戒解雇と、従業員の病気・けがや能力不足などによる普通解雇がある。懲戒解雇や普通解雇が従業員側に原因があるのに対し、整理解雇は会社側の事情に基づく解雇である。
2020年1月21日