即時型かつ全身型のアレルギー症状のこと。即時型とはアレルゲン(アレルギーの誘因となる物質)との接触から短時間に症状がおこることをさし、通常は数分~2時間以内におこるが、まれに2時間以上たってからおこる場合もあるので、数時間以内としている文献もある。
2020年3月18日
アレルギー症状には、皮膚症状(じんま疹(しん)など)、のどの違和感、呼吸器症状(咳(せき)、喘鳴(ぜんめい))、消化器症状(腹痛、下痢、嘔吐(おうと))、神経症状(眠気など)、血圧低下などがあり、そのなかでももっともよくみられるのが皮膚症状であるため、全身型という場合は、皮膚症状に加えて呼吸器症状、血圧低下などがみられることをさす。ただし血圧低下は血圧が測定できなければ確認できないので、意識がもうろうとしていたり、ぐったりして横になっている状態であれば、アナフィラキシーの疑いがあると考える。
日本アレルギー学会が作成している、アナフィラキシーの標準的な治療や考え方などをまとめた『アナフィラキシーガイドライン』(2014)では、アナフィラキシーは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起(じゃっき)され、生命に危機を与え得る過敏反応」と定義されており、「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合をアナフィラキシーショックという」とされている。
2020年3月18日
アナフィラキシーの誘因には、医薬品、昆虫、食物がある。医薬品では、抗菌薬、解熱鎮痛薬、抗腫瘍(しゅよう)薬、麻酔薬、局所麻酔薬、筋弛緩(しかん)薬、造影剤、生物学的製剤、アレルゲン免疫療法薬、輸血用血液製剤がある。また手術等の際に用いられるディスポーザブル手袋の原料であるラテックス(天然ゴム)が誘因となることもある。昆虫はハチが代表的である。食物では、鶏卵、乳製品、小麦、そば、ピーナッツなどがある。また食物の中で増殖したダニが原因となってアナフィラキシーがおこることもある。
食物では、摂取しただけでは症状がおこらず、摂取後に運動することでアナフィラキシーがおこる「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」があり、この場合、原因物質は小麦、甲殻類が多い。
2020年3月18日
アナフィラキシーの治療は、アドレナリンの筋肉注射が第一選択であり、アドレナリン自己注射薬もある。第二選択は抗ヒスタミン薬の投与、ステロイド薬の投与がある。それ以外の治療はショックに対する治療に準じたものとなる。
2020年3月18日