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ローマ皇帝(在位138~161)。五賢帝の4番目の皇帝。執政官級の貴族の家系に生まれ、財務官、法務官を務めた後、34歳で執政官となった。小アジアの総督として名声を博し、ハドリアヌス帝の顧問団に加えられた。篤実な人柄のゆえに同帝の信任も厚く、その後継者として養子に迎えられた。同帝の死後、元老院は「敬虔(けいけん)な」Piusという称号を与えて新帝をたたえている。
彼の治世は、賞与金の施与、扶養基金の設定、属州の財政負担の軽減が果たされるなかで、公費の節約や規律の遵守が徹底するという、まさしく「ローマの平和」に名実ともにふさわしい時代であった。しかし、元老院との協調関係が重視された反面で、行政機構における中央集権化が進展していたことは見過ごせない。死後は万人の称揚するところに従って神格化され、記念碑や神殿が建てられた。