家庭裁判所から少年法の定める保護処分として送致された少年(おおむね12歳以上20歳未満の者。性別は不問)と、刑事施設のかわりに少年院で刑の執行を受ける少年を収容し、矯正教育、社会復帰支援その他の必要な処遇を行う施設。1948年(昭和23)に制定された旧少年院法(昭和23年法律第169号)は、矯正教育の内容・方法、在院者の権利義務関係、職員の権限等が不明確であったことから2014年(平成26)に全面改正された。現在は、この改正少年院法(平成26年法律第58号、2015年6月施行)に基づいている。少年院は、すべて国立の施設で法務大臣の管理下にある。女子を収容する少年院は女子少年院ともよばれる。明治期には私立・公立の感化院が設けられていたが、1922年(大正11)に制定された旧少年法(大正11年法律第42号)および矯正院法により矯正院が発足し、これが少年院の前身となった。
少年院には第1種から第4種までの4種類があり、第1種の少年院は保護処分の執行を受ける者で心身に著しい故障のない、おおむね12歳以上23歳未満の者(第2種少年院の対象者を除く)を、第2種の少年院は保護処分の執行を受ける者で心身に著しい故障はないが、犯罪的傾向の進んだ、おおむね16歳以上23歳未満の者を、第3種の少年院は保護処分の執行を受ける者で心身に著しい故障のある、おおむね12歳以上26歳未満の者を、第4種の少年院は少年院において刑の執行を受ける者をそれぞれ収容する。第1種から第3種までについて少年をどの少年院に入れるかは、家庭裁判所の決定による。ただし、1施設で2種類以上の少年院をもつところもある。2019年(令和1)5月末の時点で、本院43庁、分院6庁が設置されている。各少年院には少年院視察委員会が置かれ、市民から構成される委員が少年院を視察し、その運営に関して少年院長に対し意見を述べるものとされる。なお、施設からの逃走に、刑法の単純逃走罪の適用はない。在院期間は原則として少年が20歳に達したときまでである(ただし、20歳に達するまで1年に満たない場合は1年間収容を継続できる)。
少年院の矯正教育は、在院者の犯罪的傾向を矯正し、ならびに在院者に対し、健全な心身を培わせ、社会生活に適応するのに必要な知識および能力を習得させることが目的とされている。そこで、在院者の特性に応じ、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導を適切に組み合わせて体系的・組織的に行うものとされる。生活指導としては、カウンセリングやグループ・ワークの理論の活用が図られている。職業指導は、勤労を重んずる態度を培い、個性に応じた職業選択を可能にする能力を助成するよう努めており、また教科指導はおもに義務教育課程修了を目的としている。特別活動指導は社会貢献活動、野外活動、音楽の実施などを含む。法務大臣は「矯正教育課程」として、一定の共通する特性を有する在院者の類型ごとに矯正教育の重点的な内容や標準的な期間を定めるものとされる。各少年院では指定を受けた矯正教育課程ごとに「少年院矯正教育課程」(目標、内容、実施方法、期間等)を定め、これに基づいて在院者ごとに具体的な「個人別矯正教育計画」が作成される。
2020年3月18日