家庭裁判所の観護措置により送致された者を収容するなどして鑑別を行うほか、在所者に必要な観護処遇を行い、また地域社会における非行・犯罪の防止に関する援助を行う施設。ここでいう鑑別とは、家庭裁判所の行う少年に対する調査や審判、また保護処分の執行や懲役または禁錮の言渡しを受けた20歳未満の少年に対する刑の執行に資するため、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識・技術に基づいて、対象者の非行・犯罪に影響を及ぼした資質上・環境上問題となる事情を明らかにし、またその事情の改善に寄与するため対象者の処遇に資する適切な指針を示すものであるとされる。鑑別には、家庭裁判所の求めに応じて行われる審判鑑別と、保護観察所や児童自立支援施設など、家庭裁判所以外の関係機関の求めに応じて行われる処遇鑑別とがある。
このうち審判鑑別は、観護措置により少年鑑別所に収容されている者に対して行う収容審判鑑別と、収容されていない者に行う在宅審判鑑別とに分けられる。面接、生育・教育歴などの資料の調査、心理検査、精神および身体医学的診断、行動観察などにより、少年の問題性や改善可能性などが把握される。保護観察等の在宅保護、少年院送致等の収容保護などの判定を含む審判鑑別の結果は、家庭裁判所に送付され、審判の資料となる。審判の結果、保護観察や少年院送致の決定がなされた場合は、保護観察所や送致先の少年院に送付され、処遇の参考に供される。
少年鑑別所は、保護処分として終局決定により送致される少年院とは異なる。収容期間は原則として2週間、最長8週間(犯罪少年による禁錮以上の刑にあたる罪の事件で一定の要件を満たした場合)で、成人の場合の勾留(こうりゅう)の機能も果たす。2015年(平成27)6月施行の少年鑑別所法(平成26年法律第59号)に基づく。かつては1948年(昭和23)に制定された旧少年院法に少年鑑別所に関する規定がわずかに置かれていたのみであったが、少年鑑別所の機能の進展、少年院と少年鑑別所の性格の相違等にかんがみ、2014年に独立した法律として少年鑑別所法が定められた。すべて国立の施設で、法務大臣の管理下にあり、2019年(令和1)5月末の時点で、52庁(分所6庁を含む)を数える。なお、少年鑑別所では、「法務少年支援センター」といった名称のもとで、一般家庭や学校などから少年に関する相談や依頼を受けた場合に、必要な情報の提供、助言その他の援助も行っている。
2020年3月18日