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江戸中期の画家。丹波(たんば)国(京都府)篠山(ささやま)藩の家臣であったが、のち山城(やましろ)国(京都府)淀(よど)藩に仕えた。名は正勝(まさかつ)また魚(ぎょ)、字(あざな)は氷計(ひょうけい)、引裾(いんきょ)。于緝(うしゅう)、蘆雪と号した。円山応挙(まるやまおうきょ)に絵を学んで早くから個性的表現で頭角を現し、1786年(天明6)の冬以降は師にかわって南紀(和歌山県)の諸寺に絵筆を振るい、これが大きな転機となった。その後の代表作に正宗寺(豊橋市)の旧方丈障壁画や大乗寺(兵庫県)の障壁画、厳島(いつくしま)神社(広島県)の『山姥(やまんば)図』、『花鳥游魚(ゆうぎょ)図巻』、『海浜奇勝図』(ニューヨーク、メトロポリタン美術館)などがある。表現様式は実に多様で、応挙に学んだ精緻(せいち)で構成的な写生画の視点にたちながら、自らの豊かな生命感を奔放に表出した作家として評価が高い。