中国の上海市にある、アジアを代表する証券取引所。深圳(しんせん)証券取引所と並び、中国本土の二大証券取引所の一つである。非営利法人で、中国証券監督管理委員会(証監会)が直接管理している。中国語の名称は上海証券交易所。略称は上交所、英語略称はSSE。1990年11月に設立され、同年12月から営業を開始した。アジア企業の急成長を反映し、2009年に売買代金で東京証券取引所を上回ってアジアでは首位、世界で3位になった。2019年末時点の上場企業数は1572社で、上場企業の株式時価総額は世界第4位の3兆5552億ドルである。
上海証券取引所には一般企業が上場する主取引所(メインボード)と、中国のハイテク新興企業が上場する科創板(STAR(スター)マーケット)があり、主取引所は、原則として中国人向けのA株市場と、外国人も売買できるB株市場に分かれる。A株市場には、エネルギーの中国石油天然気集団(CNPC)や中国石油化工(Sinopec)、金融の中国工商銀行など時価総額の大きな国有企業が上場している。売買は人民元建てで情報開示も中国語のみであり、外国人は「適格機関投資家」を除き原則売買できない。B株市場はアメリカドル建てで売買し、外国人も売買できるが、優良企業が少なく小規模である。中国の代表的な株価指数である上海総合指数は、上海証券取引所に上場するA株とB株すべての時価総額を加重平均したもの。1990年12月19日の時価総額を100として指数で表す。「中国版ナスダック」とよばれる科創板は2019年7月に人民元建てで取引を開始した。リスクマネーで新興企業を育成するため、上場審査基準が緩く、2019年末時点で70社が上場している。
従来、日本の投資家がA株に投資するには、証券会社が販売するA株を組み込んだ「A株ファンド」などを購入するなど手法が限られていた。しかし上海証券取引所は対外開放を進め、2014年に香港証券取引所と「上海・香港ストック・コネクト」という越境相互取引を始め、海外投資家が香港証券取引所を通じて上海証券取引所のA株を売買することが一定範囲で可能になった。2019年には、ロンドン証券取引所とは預託証券を相互上場し、東京証券取引所とはETF(上場投資信託)を相互上場することで、互いに株式投資をしやすくした。
2020年4月17日