日本大百科全書(ニッポニカ)

日米貿易協定
にちべいぼうえききょうてい
Trade Agreement between Japan and the United States of America 英語

日本とアメリカの政府間の自由貿易協定(FTA)。物の関税の撤廃・引下げを柱とし、2019年(令和1)9月に合意、2020年1月に発効した。日本がアメリカから輸入する牛肉、豚肉、乳製品、ワインなどの農産物・食品の関税をTPP(環太平洋経済連携協定、Trans-Pacfic Partnership)の合意水準まで引き下げ、たとえばアメリカ産牛肉の関税は38.5%から段階的に9.0%へ下げる。アメリカが日本から輸入するエアコン部品、燃料電池、眼鏡(めがね)など幅広い工業品の関税を撤廃・引き下げる。ただ対日輸入額の3割強を占める自動車・同部品の関税撤廃は継続協議とした。日米貿易協定による関税撤廃率(金額ベース)は日本で84%、アメリカで92%。日米貿易協定と同時に、電子商取引のルールなどを定めた日米デジタル貿易協定にも合意。機器を動かすソフトウェアの設計図である「ソースコード」の開示要求の禁止、外国企業へのサーバーなどIT関連設備の設置強要の禁止、国境を越えた自由なデータ流通の確保などを盛り込んだ。日本政府は日米貿易協定の発効で、日本の実質国内総生産(GDP)が0.8%増えると試算している。
 TPPを離脱したアメリカのトランプ政権が対日貿易赤字を問題視し、アメリカ政府の要求で2018年(平成30)から二国間交渉が始まった。日本政府は、日米貿易協定の合意で、日本製自動車への報復関税やアメリカ産米に対する無関税枠設定などを回避できたと説明している。しかし日本の農業団体や野党などは、日本が農産物市場の開放で一方的に譲歩したと政府を批判している。両国は自動車・同部品やサービス分野を含めた第2段階の協定交渉を始めるかどうかを協議している。
[矢野 武]2020年5月19日