日本大百科全書(ニッポニカ)

浙派
せっぱ

中国、明(みん)代の職業画家を中心とする画派。浙は東南部の浙江(せっこう)をさし、この派の祖とされた戴進(たいしん)の出身地が銭塘(せんとう)(浙江省杭州(こうしゅう))であること、また浙江出身の画家が多かったことから、同時期に東部の江蘇(こうそ)省を中心とした呉派に対してこう称された。しかし、画家の出身地、身分などはさまざまで、画風もかなり幅が広い。その様式は南宋(なんそう)院体画に元(げん)代の李(り)・郭(かく)画風が混じり、そこに浙江の地方様式である粗放な水墨画法が加わったもので、この粗放な筆墨、黒面と余白の対比や律動感の強調などが共通する特徴である。戴進が画院に入るとともに画院絵画の主要な様式となり、時代が下るにしたがいこの特徴が著しくなり、同時に浙江、福建から江蘇、広東(カントン)、湖北などへと拡大して在野の画家にも影響が及んだが、やがて呉派文人画にその優位を譲った。代表的画家には初期の戴進、中期に呉偉(ごい)、後期に張路(ちょうろ)、蒋嵩(しょうすう)らがおり、藍瑛(らんえい)に至っている。張路以下浙派系の画家は、何良俊(かりょうしゅん)(1506―73)ら文人批評家から「狂態邪学」と非難されたが、熟練した画技で浙江水墨画様式の可能性を追求し、各自個性的な作風を打ち出している。
[星山晋也]

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