動物分類学上は脊索(せきさく)動物門Chordata、脊椎(せきつい)動物亜門Vertebrataあるいは頭蓋(とうがい)亜門Craniata、顎口(がっこう)上綱Gnathostomataに属する軟骨魚綱Chondrichthyesを構成する魚類。現生種は、板鰓(ばんさい)亜綱(サメ・エイ類)と全頭(ぜんとう)亜綱(ギンザメ類)からなり約970種が含まれる。形態上は古生代の魚類の特徴の多くを備えるため、硬骨魚類より原始的なグループと考えられたこともある。しかし、軟骨魚類にはいくつかの著しく特殊化した特徴があり、現在では両者は別個に独自の進化をしたものと考えられている。
内部骨格が軟骨からなること、頭蓋骨が一続きの軟骨の箱で、多くの骨でできていないこと、歯が何層にも並び、一部の機能歯が損傷すると内層の歯がすべて機能歯になって入れ換わること、普通、鰓孔(さいこう)が数対あること、各鰭条(きじょう)が角質鰭条で、分節しないこと、うきぶくろまたは肺がないこと、鱗(うろこ)は退化したものを除くと歯と同じ構造の楯鱗(じゅんりん)であること、腸の内面に螺旋(らせん)弁があり、後端に直腸腺(せん)が発達すること、尾びれは異尾であること、雄には腹びれの内縁に大きな交尾器があり体内受精をすること、などが特徴である。板鰓類は各鰓裂が別々に体表に開き、脊索は椎体ごとにくびれるのに対して、全頭類では各鰓裂は共通の1鰓孔によって体表に開き、脊索は終生円筒状である。
卵は大きくて数少なく、すべて体内受精する。卵膜に精子が進入する卵門がなく、精子は頭部の尖体(せんたい)で卵膜の一部に穴をあけて卵内に入る。多精受精で、数個または多数の精子が正常な状態で卵内に入り、そのうちの1個だけが雌性前核と癒合して胚(はい)となる。ネコザメ、テンジクザメ、トラザメ、ジンベイザメ、ガンギエイ、ギンザメなどは卵生で、4層からなる厚いキチン質の卵殻に包まれた卵を産む。一方、シロザメ、ホシザメ、ヨシキリザメ、シュモクザメなどは胎生であり、胎仔(たいし)は母体から栄養や酸素などを吸収してよく発育してから出産される。そのほかの多くの種類は卵胎生であり、胎仔は卵黄物質を栄養の主体としながら母体内で発育して出産される。
18メートルにも達する大形のジンベイザメやそれに次いで大形のウバザメなどはプランクトンを主食にするが、多くの種が肉食性で、魚類、ウミガメ、海獣、軟体類、甲殻類などを、1週間に平均して体重の3~14%ほど食べる。いくつかのサメ類は人間を攻撃することがあり、「人食いザメ」とよばれる。被害の多い順にホホジロザメ、メジロザメ、イタチザメ、シロワニ、シュモクザメ、ヨシキリザメ、アオザメ、オオセ、コモリザメなどである。とくに前2種は突出して多い。ギンザメ類の背びれの棘(とげ)や輸卵管には毒があることが知られている。
2015年1月20日