日本大百科全書(ニッポニカ)

インクルーシブ教育
いんくるーしぶきょういく

障害のある人、障害のない人と二分立で考えることをかならずしも前提とせず、すべての人を包容(包括)し、おのおのが教育的ニーズに応じた配慮を保障されながら、ともに学ぶ教育のあり方や仕組み。インクルージョンinclusion(包容の意)ともいう。しばしばインテグレーションintegration(統合の意)と混同されるが、これは障害のある人、障害のない人という二分立を前提として、障害のない人の学びの場(メインストリーム)に障害のある人を統合して教育しようとするもの(統合教育)であり、インクルージョンとは異なる。

 1980年代末から1990年代初めにかけてアメリカの教育界に登場したインクルーシブ教育の考え方は、1994年のユネスコ「サラマンカ宣言(声明)」に採用され、世界に広まった。2006年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」でも、「障害者を包容するあらゆる段階の教育制度及び生涯学習を確保する」とされ、インクルーシブ教育が盛り込まれた。ここに示されているように、インクルーシブ教育は、学校だけでなく生涯学習をも含んでいることに留意する必要がある。

 日本でも、現在、インクルーシブ教育の推進施策が展開されている。また、障害のある人にも配慮した授業のユニバーサルデザイン化など、学校現場での意欲的な実践も蓄積されつつある。しかしながら、40人学級を原則とする学級編成基準や1学級を1人で担当する教職員体制など、インクルーシブ教育を実質化していくために改善すべき点は多々残されたままとなっている。

[野口武悟]2020年8月20日

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