日本大百科全書(ニッポニカ)

リージョナルジェット
りーじょなるじぇっと
regional jet

小型ジェット旅客機のこと。英語の頭文字をとってRJと略す。座席数50~100席程度、航続距離2000~3000キロメートル。リージョナル(regional、地域の)という意味のとおり、従来プロペラ機が飛んでいた地方空港の利用を見込んだ航空機である。中大型ジェット機に比べ低燃費・低騒音で、短い滑走路で離着陸でき、飛行時間1~2時間程度のハブ空港と地方空港や、地方空港どうしを結ぶ路線に適している。1990年代以降、大都市間の航路には大型機が就航する一方、新興国の経済発展や格安航空会社(LCC)の台頭により地方空港には効率のよい小型機が求められ、リージョナルジェット市場が急成長してきた。2018年末時点で、世界に3455機のリージョナルジェットが就航。カナダのボンバルディア社(Bombardier)とブラジルのエンブラエル社(Embraer)が市場を二分し、中国の中国商用飛機有限責任公司(COMAC)、ロシアのスホーイ社(Sukhoi)、日本の三菱(みつびし)航空機(三菱重工業の子会社)などが新規参入し、競争が激しくなっていた。

 しかし「飛び恥(フライトシェイムFlight Shame)」ということばに象徴される環境保護機運による航空機利用の敬遠傾向に、新型コロナウイルス感染症の流行が重なり、市場の伸びはやや鈍化し、日本航空機開発協会は2038年までのリージョナルジェット需要は約3100機と予測する。膨大な開発費が負担となって、ボンバルディア社がヨーロッパのエアバス社や三菱航空機へ航空機事業を売却するなど業界再編も進んでいる。日本では、政府の環境適応型高性能小型航空機の開発構想(2002年)に応じ、三菱重工業が2008年(平成20)に子会社三菱航空機を通じて市場に参入。「スペースジェット」(旧、MRJ=三菱リージョナルジェット)の名称で、90席級・航続距離約3700キロメートルの新型機開発に取り組んだ。国産旅客機の生産は1973年(昭和48)に生産を終えたプロペラ機YS-11以来となる。ただスペースジェットはピーク時に447機を世界から受注したが、技術不足でトラブルが相次ぎ、初号機納入が当初の2013年後半から延期を繰り返し、2021年以降にずれ込んでいる。

[矢野 武]2020年8月20日

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