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日本大百科全書(ニッポニカ)

国民経済計算

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国民経済計算
こくみんけいざいけいさん
System of National Accounts

一国の経済の状況について体系的に記録するための国際的な会計基準。SNAと略称される。一国の経済活動を測る指標として注目される国内総生産(GDP)も、このSNAによって計測されている。この基準は国際連合(国連)経済社会理事会の統計委員会で議論され、決められており、これまで幾度となく改定されてきた。2020年(令和2)時点では、日本は2009年(平成21)に国連で合意された2008SNAを採用している。

 SNAでは、後述する体系で一国の経済活動を把握するが、その際に重要となる基本データの一つが産業連関表である。日本において産業連関表は原則として西暦の末尾が0または5の年について作成され、SNAはその情報を反映させる。2020年時点の日本のSNAは、2011年の産業連関表に基づいて計測されているため、2008SNA2011年基準とよばれている。

[飯塚信夫]2020年9月17日

SNAの体系の概要

SNAは、一国の経済活動を(1)生産と所得の分配、(2)所得の受取・処分と資本の蓄積・調達、(3)資産と負債の増減、の過程に分けて計測している。

[飯塚信夫]2020年9月17日

(1)生産と所得の分配

財(食料、衣料など)やサービス(交通、医療など)が生産され、そこで得られた付加価値が所得として分配され、財やサービスの購入にあてられる過程を計測している。財やサービスには、生産活動の原材料として用いられるもの(中間財とよばれる)と、消費や投資の対象となるもの(最終財とよばれる)がある。国内における生産額(国内産出額)から中間財の使用額(中間投入)を差し引いたものが付加価値であり、これがGDPとよばれている。付加価値は、生産活動にかかわった人に分配され、財やサービスの購入に用いられる。

[飯塚信夫]2020年9月17日

(2)所得の受取・処分と資本の蓄積・調達

付加価値が分配されて、それが財やサービスの購入に用いられる過程を詳細に計測している。その際、国民経済を構成する主体(制度部門とよばれる)を、非金融法人企業、金融機関、一般政府、家計(個人企業を含む)、対家計民間非営利団体、の五つに分けて計測している。前述したように付加価値は生産活動にかかわった人に分配されるが、そこから税金や社会保険料が徴収される。また、政府は税金や社会保険料などを財源に、年金や生活保護などを支給している。こうした再分配が行われた後の所得(可処分所得とよばれる)を用いて、五つの主体は消費や投資を行う。このうち、投資は生産活動のために財やサービスを購入することをさし、家計であれば住宅の購入、企業であれば工場や機械の購入などが該当する。

[飯塚信夫]2020年9月17日

(3)資産と負債の増減

財やサービスの購入は、可処分所得の範囲内で行うこともあれば、不足して借金をして行う場合もある。前者の場合は貯金が増え、後者の場合は借金が増える。SNAでは貯金などの資産の増減や借金などの負債の増減も計測している。とくに、住宅、工場、機械などを非金融資産、貯金などを金融資産とよんでいる。一国全体の非金融資産と金融資産の合計から負債を差し引いたものを正味資産(国富)とよんでいる。

 なお、(1)(2)までの過程は、四半期、1年間など一定の期間内での金額や量(フローとよばれる)を計測しているが、(3)は、特定の時点(たとえば年末段階)での金額や量(ストックとよばれる)を計測するという違いがある。

[飯塚信夫]2020年9月17日

歴史的経過

国連で初めてSNAの基準が作成されたのは1953年であった。ただ、この時点の基準は、財やサービスの生産と所得の分配といったフロー面のみをとらえる国民所得勘定に関連したものに限られていた。

 1968年に全面改定され1968SNAとなり、国民所得勘定のほか、産業連関表、国際収支表、資金循環表、国民貸借対照表を包含する現在のようなSNAの体系ができあがった(当時は、1953年作成のSNAに対して「新SNA」とよばれた)。すなわち、生産者間の財・サービスのフロー、資金のフロー、海外との取引関係、そしてこれらのフローをストックに結び付ける国民の貸借対照勘定が付け加えられた。フローとストックの両面から経済の姿を包括的・整合的・統合的に記録するという、現在に至る体系の基盤が構築されたことになる。日本は1978年(昭和53)に1968SNAに対応した。

 その後も改定が行われ、1993SNAでは、所得の受取と処分の過程の記録を詳細にしたほか、コンピュータソフトウェアの購入分を投資に含めることなどを決めた。また、国民総生産(GNP)の概念がなくなり、同様の概念として国民総所得(GNI)が導入された。日本は2000年に1993SNAに対応したほか、このときに対応できなかった分については、2005年、2011年に対応した。

 2008SNAでは、企業の生産活動における役割が高まっている研究・開発(R&D:Research and Development)支出を投資に含めることなどを決めた。日本は前述のとおり、2011年に2008SNAに対応したが、従来は中間投入に含まれていたものが投資に含まれることになったことで、国内生産額から中間投入を差し引いて算出されるGDPが、1993SNA対応時に比べて、1994~2015年にかけて約5兆~約30兆円増加した。

[飯塚信夫]2020年9月17日

©Shogakukan Inc.

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