総合アパレルメーカー。1902年(明治35)に大阪で佐々木八十八(やそはち)(1874―1957)が創業した輸入雑貨卸商佐々木八十八営業部が前身。その後、東京にも進出し、1955年(昭和30)レナウン商事と改称。全国に販売会社を設立して、得意先小売店の組織化を目ざした。肌着・靴下中心からしだいにファッション衣料に重点を移し、1967年レナウンと改称した。他方、佐々木営業部の生産部門として1926年(大正15)にレナウンメリヤス工業が設立され、さらにそれが1952年にレナウン工業となり、肌着・外着・靴下を含む総合衣料メーカーに発展した。1968年にレナウンはレナウン工業を合併し、商品の企画、生産、販売、宣伝の機能を有機的に統合して業界での指導的地位を築き、テレビ番組のスポンサー活動などを通じて宣伝力を強めた。1962年にレナウンルック(現、ルックホールディングス)を設立して婦人既製服業界に進出、1970年には紳士既製服部門進出のためにレナウンニシキ(1972年よりダーバン)を設立。その後も海外市場に目を向けた戦略を推進し、1990年(平成2)にはイギリスの老舗(しにせ)服飾メーカーのアクアスキュータム社を買収している。2004年(平成16)ダーバンと経営統合し、持株会社レナウンダーバンホールディングスを設立、両社の関連会社とともにその傘下となる。さらに2006年レナウンダーバンホールディングスはレナウンとダーバンを吸収合併、社名をレナウンに変更した。資本金184億円(2019)、連結売上高502億円(2019)。
主力販売ルートである百貨店の地盤沈下で販売力が低下したうえ、ファーストファッションやネット通販との競争激化で経営不振に陥り、2010年に中国の繊維大手、山東如意(さんとうにょい)科技集団の傘下に入った。しかし、その後も業績が改善せず、山東如意科技集団からの資金回収が遅れるなか、新型コロナウイルス禍の直撃で売上げが急減。資金繰りに行き詰まり、2020年(令和2)5月に東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約138億円。同年6月には、東京証券取引所第一部での最終売買を終え、実質57年間の上場企業としての歴史に幕を閉じた。
2020年10月16日