福島第一原子力発電所事故を含む東日本大震災からの復興政策をつかさどる国の機関。首相直属(内閣に設置)の行政機関であり、復興事業にめどをつけるまでの時限機関である。2011年(平成23)6月に成立した東日本大震災復興基本法(平成23年法律第76号)に設置の基本方針が盛り込まれ、同年12月に成立した復興庁設置法(平成23年法律第125号)で目的や所掌事務、組織などが規定された。東日本大震災復興基本法に基づいて設置されていた政府の復興対策本部の行政事務を拡充・増強する形で、2012年2月に発足した。復興庁の長である内閣総理大臣のもと、一人の復興大臣と複数の副大臣を置く。
復興庁は中央省庁の政策を企画・調整し、国の一元的な窓口として津波・大震災被災地の復興と原子力被災地域の中長期的対応にあたる。復興債や日本郵政株の売却益を財源とし、一般会計から切り離した特別会計で復興関連予算を一括要求・管理し、復旧・復興、原発事故対策、移住・定住、風評被害対策に取り組む。優遇税制や規制緩和で産業振興を促す復興特別区域を認定するほか、インフラ復旧の財源である復興交付金の配分などを担う。東京に本庁を置くが、被災地の要望を迅速に吸い上げるため、被災三県(岩手、宮城、福島)に復興局を設ける。庁内には「復興推進会議」を設け復興のための施策を推進し、関係機関の調整を図る。また、有識者や被災自治体の首長らを委員とする「復興推進委員会」で復興の推進状況を監視・評価する。復興庁の設置期限は当初、震災から10年後(2020年度末)までとしてきたが、福島第一原発事故への対応が長期化しており、復興庁設置法改正(2020年)により期限を10年延長し、2030年度末までとした。復興債の発行期間や日本郵政株の売却期限も5年間延ばしたが、復興交付金は2020年度末で廃止する。
2020年11月13日