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江戸後期の地誌。下総国(しもうさのくに)布川(ふかわ)(現、茨城県北相馬郡利根町)の医者赤松宗旦(あかまつそうたん)(義知(よしとも))著。6冊。1855年(安政2)の自序がある。出版は1858年ともいうがはっきりしない。上利根川の下流房川の渡(ぼうせんのわたし)(現、埼玉県久喜市と茨城県古河市の間)以下、赤堀川、権現堂川(ごんげんどうがわ)と分かれる所から起筆、中・下利根川の沿岸および両川に流れ入る手賀沼(てがぬま)、印旛沼(いんばぬま)を含め、その近辺の寺社、名所、旧跡、物産、伝説、動植物の生態、自然現象などを川の流れに沿って河口の銚子まで記述。本文中に80点に及ぶ図版も掲載し、一河川に沿う地域を対象とした地誌としてユニークな存在である。『岩波文庫』『茨城県史料 近世地誌編』に所収。
[鈴木暎一]