法科大学院、教職大学院など社会的・国際的に活躍できる高度専門職業人の養成を目的とした教育機関。学校教育法を改正し、同法第99条第2項に基づき、2003年度(平成15)から制度化された。研究者ではなく実務家の養成がねらいで、法務、教職のほか、経営(ビジネス・スクール)、会計(アカウンティングスクール)、技術経営(MOT)、公共政策、公衆衛生、知的財産、臨床心理などがある。科学技術の進展や、経済・社会のグローバル化に対応するため、欧米をモデルに導入された。専門職大学院は2020年度(令和2)時点で全国に118校(166専攻)あり、入学定員は1万0081人。制度導入当初は全国の大学、専門学校が競うように専門職大学院を設置したが、その後、閉校や募集停止が続き、在学者数は2009年度(2万3381人)をピークに減少・低迷傾向にある。文部科学省は2015年度から、司法試験の合格率などで補助金額を決める新制度を導入して法科大学院の再編を促しているほか、産業界と連携し社会ニーズの高い教育プログラムづくりなどを後押ししている。
標準的な修業年限は2年であるが、法科大学院は3年である。修了するには30以上の単位取得が必要で、法科大学院は93単位以上、教職大学院は45単位以上が必要。修了すると修士(専門職)号が与えられるが、法科大学院修了者のみ法務博士(専門職)の学位が与えられる。法科大学院修了者には司法試験の受験資格が与えられ、会計士大学院修了者には公認会計士試験の一部科目が免除されるなど、国家試験の受験資格や科目免除などの一定の特典が与えられる。専門職大学院は、理論と実務をつなぐ教育を基本としつつ、(1)少人数教育、双方向的・多方向的な授業、事例研究、現地調査などの実践的な教育方法をとる、(2)研究指導や論文審査は必須(ひっす)としない、(3)実務家教員を一定割合置く、などを制度上定めている。教育の質を保証するため、文部科学大臣より認証を受けた認証評価団体から5年以内ごとに評価を受けることを義務づけられている。
2021年2月17日