ユキノシタ科(APG分類:アジサイ科)の落葉低木。高さ1~1.5メートルの株立ちになり、若枝は緑色で太い。葉は対生し、広楕円(こうだえん)形または倒卵形で長さ8~15センチメートル、先はとがり、縁(へり)に三角状の鋭い鋸歯(きょし)がある。葉質はやや厚く、滑らかでつやがある。6~7月ごろ枝先に球状で大形の集散花序に淡青紫色の中性花(装飾花)からなる花を多数つける。4~5個ある萼片(がくへん)が大形の花弁状にみえ、縁に鋸歯が出ることもあり、花弁は小さい。雄しべと雌しべは退化して小さく、果実ができない。ガクアジサイを母種として日本で生まれた園芸品種で奈良時代からあったといわれる。名は青い花がかたまって咲くようすから名づけられた。広く公園や庭園に植えられ、名所が各地にある。
2021年3月22日
APG分類ではキレンゲショウマとアジサイのグループがユキノシタ科から分離し、アジサイ科として独立した。
2021年3月22日
花が青紫色で中性花の萼片が皿形につぼまるウズアジサイ、花が八重咲きになるヤエアジサイなど品種が多く、セイヨウアジサイ(ハイドランジャ)はヨーロッパでアジサイを改良したものである。ヨーロッパへは1789年に、日本から中国に渡っていたアジサイをバンクスJoseph Banksがイギリスのキュー王立植物園に導入したのが初めで、その後ヤマアジサイ、ベニガクなども渡って交雑育種され、多くの園芸品種が育成された。白、桃、紅、赤、青などの花色や大きさに変化があり、矮生(わいせい)で花が咲く品種もある。日本にも逆輸入され鉢植えや公園などに広く用いられている。日本に自生するものは北海道、本州北部に分布するエゾアジサイvar. acuminata forma yesoensis (Koidz.) Ohwiのほか、アマチャ、ガクアジサイ、ヤマアジサイなどがある。
2021年3月22日
肥沃(ひよく)な湿気に富む半日陰地を好み、成長は早い。病虫害は比較的少なく、移植は容易で、剪定(せんてい)は花期後に軽くする程度がよい。繁殖は株分け、取木のほか、挿木も容易である。アジサイの花色は土壌の酸性度によって変わり、酸性土壌では青みが強く、アルカリ性土壌では紅色が強くなる。これにはアルミニウムが深く関係しており、そのほかに土壌に含まれる肥料要素の差異も影響があるといわれている。
2021年3月22日
『万葉集』に大伴家持(おおとものやかもち)と橘諸兄(たちばなのもろえ)が詠んでいるが、平安文学に名はみえない。色が変わることが心の変節と結び付けられ、道徳的でないとみなされて、近世までは目だたない花であった。逆に西洋では色変わりが珍しがられて改良が進んだ。シーボルトが愛人のお滝さん(楠本滝)の名からオタクサH. otaksaを種小名に与えたが、現在は先取権上ツンベルクが命名したマクロフィラが使われている。『和名抄(わみょうしょう)』以来の漢名である紫陽花は、中国ではライラックとする説が有力である。
2021年3月22日